静岡家庭裁判所浜松支部 昭和43年(家)323号 審判 1968年3月13日
申述人 杉山ハナ(仮名)
主文
本件相続放棄の申述受理審判手続は、昭和四三年二月一九日申述人の死亡により終了した。
理由
本件記録によれば申述人は昭和四三年二月一九日本件相続放棄の申述書を郵送して当裁判所に提出した後同日死亡した。
申述人の申述の要旨は
(一) 申述人は被相続人杉山健助の配偶者である。
(二) 被相続人杉山健助は昭和四二年一一月二〇日死亡し相続が開始し申述人は右日時にその死亡の事実を知り、かつ、相続人となつたことを承知した。
(三) しかし申述人は右相続を被相続人の長男杉山和市にさせたいので相続を欲しない。よつてこれを放棄したいからこの申述をした。
というのである。
ところで相続放棄の申述は家庭裁判所の受理によつて効力を生ずる。従つて放棄の申述書を提出しただけで受理されない前にその提出者が死亡したときは受理することができず、かかる場合には民法第九一六条によりその相続人が改めて相続の承認または放棄をすべきであつて、本件相続放棄申述の受理審判手続は申述人の死亡によつて審判の目的が失われ、当然終了したものというべきである。
よつて、主文のとおり審判する。
(家事審判官 久利馨)